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プレコンセプションケアとは?

プレコンセプションの
定義

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プレコンセプションの定義と
その必要性

RA患者さんのプレコンセプションケアとは?

関節リウマチ(RA)患者さんのプレコンセプションケア(PCC)は、「女性RA患者さんが、自分の体を知り、自分のライフプランを自ら計画することを支援する」ことを意味している。RAの治療を受けている患者さんが妊娠を希望するうえで最も大切なことは、「計画的に妊娠する」という点である。

また、妊娠可能年齢の女性(WoCBA : Woman of Child-Bearing Age)-RA患者さんが、必ずしもその時に妊娠を希望していなくても将来は子どもを持ちたいと考えていたり、子どもを持たないという選択をされている方であっても、PCCの対象となる。そのため、まず患者さんが「どのようなライフプランを描いているか」を聞くことが大切になる。

また、プレコンセプションケアは、リウマチ治療医および産婦人科医の連携が必要であるが、日常診療のなか、医師の力だけですべてのWoCBA-RA患者さんの家族計画に積極的に取り組むことは、実際には難しい。そのため、看護師や助産師などのメディカルスタッフの協力を含めた総合的なサポートが重要となる1)

図1 リプロダクションサイクルのなかの
プレコンセプションケアの位置づけ

プレコンセプションケアは妊娠を計画している女性だけではなく、すべての妊娠可能年齢の女性にとって大切なケアと考えられる。なぜなら自分自身を管理して健康な生活習慣を身につけることは、健康のみならずより質の高い人生を送ることにつながるからである2)

国立成育医療研究センター プレコンセプションケアセンター

患者の抱えている不安・悩み/課題

関節リウマチと診断される患者さんは20歳以降から増え始める。女性の若年成人期は妊娠・出産、育児について影響が懸念される時期であり、こうしたライフイベントに対する不安が出生数に影響していると報告されている。

女性のライフイベントと関節リウマチ

2003年に生物学的製剤が発売され、発症早期から積極的な治療が行われるようになり、関節リウマチは寛解を目指せる疾患となった。
その一方で、妊娠可能世代(WoCBA:Women of Child -Bearing Age)においては、妊娠・出産を望む女性患者さんが増えている3)ものの、なかなか医療関係者に相談できず、一人で不安や悩みを抱えている患者さんも少なくないと思われる4)
日本リウマチ友の会会員において、関節リウマチと診断された年齢は、20代から増え始め、30~50代が多いことが『2020年リウマチ白書』で示された(図1)5)
若年成人期は、社会的に重要な役割を担うのみならず、女性では妊娠・出産や育児への影響も懸念される時期でもある。
一方、妊娠・出産を考慮した治療方法や社会生活・ライフイベントに対する支援に関する情報は不足しており、多くの患者さんは、無事に結婚生活を送り、妊娠・出産できるか等の不安や悩みを抱えていることが報告されている6)

図2 リウマチと診断された年齢
(2020年リウマチ白書)

調査概要
2019年6月に公益社団法人 日本リウマチ友の会の全会員10,226人に、マークシートおよび自由記述欄から構成された調査票を発送し、有効回答を得られた5,212人(リウマチ患者4,606人、患者以外の会員606人)の集計結果を分析した。

公益社団法人 日本リウマチ友の会 創立60周年記念事業
『2020年リウマチ白書』リウマチ患者の実態〈総合編〉

関節リウマチ患者が抱える悩み・
不安~妊娠・出産・育児など~

『2020年リウマチ白書』によると、関節リウマチにより「結婚生活への影響があった」とする患者さんは全体の40.4%を占めた。具体的には「配偶者が病気を理解するようになった」という前向きな患者さんが多い一方、「夫婦生活が困難になった」、「妊娠・出産をあきらめた」などの回答もみられた(図2)5)

図2 結婚生活への影響
(2020年リウマチ白書)

公益社団法人 日本リウマチ友の会 創立60周年記念事業
『2020年リウマチ白書』リウマチ患者の実態〈総合編〉

アジア太平洋地域(APAC:日本、オーストラリア、香港、台湾)で行われたオンライン調査により、過去2~5年の間に妊娠経験がある中等症~重症のリウマチ性疾患の患者さんのうち、約半数の方は、妊娠することに対して不安を抱いていたことが示された(図3)。

図3 母親となることの決断を遅らせる原因と
なった患者の心配

調査概要
過去2~5年の間に妊娠経験のある18~45歳の、中等症~重症のリウマチ性疾患(関節リウマチ、乾癬性関節炎、体軸性脊椎関節炎/強直性脊椎炎)を有する女性患者210人を対象に疾患の治療や妊娠についてオンライン調査をアジア太平洋地域(APAC:日本、オーストラリア、香港、台湾)で実施し、欧州(EU5:ドイツ、フランス、イギリス、イタリア、スペイン)での調査結果と比較した。

Reproduced from Ann Rheum Dis, Tanaka Y, et al., 78(S2), 1155-1156, 2019, with permission from BMJ Publishing Group Ltd.

このように、WoCBA患者さんが不安を抱えることは、出生数に影響しているとの報告がある。
国内データをみると、関節リウマチ患者さんを対象とした多施設共同データベースNinJa(National Database of Rheumatic Diseases by iR-net in Japan)に登録された15~45歳の女性の2015年度の出生数は、同年の人口動態統計から算出したデータベース登録女性の期待出生数に比べ、半数以下にとどまる7)
さらに、日本人の関節リウマチ患者さんの意見を聴取したアンケートでは、妊娠・出産に関するマイナス要因として、家族の反対、妊娠中に病状が悪化するのではないかという心配、胎児への薬の影響が心配、育児ができるか不安、経済的な不安などが挙げられた8)。この中には、医学的な知識を得ることで解決できる問題もあり、医療関係者による適切な情報提供が必要と考えられる。

JP-N-DA-RH-2200109